2003年、かつて「負け組の星」と呼ばれ大ブームを巻き起こした競走馬「ハルウララ」。
引退後の行方が一時期分からなくなり、万が一も囁かれた有名馬が、いま再注目されています。
以前のブームに関しての振り返りと、なぜ再ブームが起きているかを解説します。
2003年の第一次ハルウララブーム

ハルウララの連敗と注目の始まり
- 実況アナウンサーの橋口浩二が60連敗を超えた頃からハルウララに注目しました。
- 「ジッピーチッピー(アメリカの連敗馬)」になぞらえて売り出そうと考え、周囲に話題を広めました。
メディア報道によるブームの火付け
- 高知新聞記者の石井研が橋口の話を元に記事化(6月13日掲載)。
- その後、高知県競馬組合の吉田昌史が広報資料をマスコミに配布。
- 7月23日、毎日新聞・フジテレビ『とくダネ!』で取り上げられ、全国的な報道へ。
「負け組の星」としての人気
- 単勝馬券が「リストラ防止」「交通安全のお守り(=当たらないことから)」として購入される。
- 毛入りのお守りが批判を浴び販売中止 → ヒノキ製の絵馬に変更。
関係者たちの複雑な思い
- 宗石調教師は「勝たせたくても無理な調教はしたくない」とコメント。
- 藤原厩務員は「やっぱり勝ってほしい」と発言。
- 生産者の信田義久氏は「負け馬の子は売れない」とブームに否定的。
100連敗達成と観客の熱狂
- 12月14日のレースでは5000人超が来場、報道陣約120人。
- 単勝馬券売上額301万円(高知競馬史上最高)。
- ハルウララには感謝状とニンジンの首飾りが贈られた。
2004年 武豊 騎乗による経済効果は8億円以上

2004年3月22日武豊騎乗による歴史的なレース
- 中央競馬のスター騎手・武豊が騎乗し、ハルウララは106戦目のレースに出走。
- 武は「地方競馬の助けになれば」と気軽に騎乗を受けた。
記録的な盛り上がり
- 当日の観客数:13,000人(入場制限あり)
- 単勝馬券売上(ハルウララのみ):1億2175万円
- 出走レースの馬券売上:5億1163万円
- 1日あたりの馬券売上:8億6904万円(すべて高知競馬史上最高)
- グッズ売上:約1000万円
- 待ち時間は最大7時間
- テレビ中継『ちちんぷいぷい』の視聴率:瞬間最高19.9%、平均12.2%
3. レース結果とその後の反響
- ハルウララは11頭立ての10着。
- 武豊は異例の「ウイニングラン」を実施。
- ハルウララの魅力と存在感が全国に浸透。
2025年ハルウララの再ブームはアプリゲームがきっかけ
2025年、かつて「負け続けることで人気を博した」競走馬・ハルウララが、再び脚光を浴びています。
その再ブームのきっかけとなったのが、人気アプリゲーム『ウマ娘 プリティーダービー』(通称:ウマ娘)の英語版リリースです。
海外展開されたこのゲームを通して、多くの海外ユーザーがハルウララの存在を知り、そのユニークなエピソードと愛されキャラに魅了されたことで、新たなファン層が形成されました。
実はこのアプリゲームが日本国内でリリースされた際にも同じようなブームが起きましたが、今回は世界規模(北米・ヨーロッパ・アジア一部)で起きはじめています!
ウマ娘とは?
『ウマ娘』は、実在した競走馬を美少女キャラクターに擬人化し、レースや育成、ストーリーを楽しむゲームです。
プレイヤーは「トレーナー」となってウマ娘たちを育成し、夢の舞台であるURAファイナルズなどを目指します。
キャラクターたちはそれぞれ元になった競走馬の歴史や性格を反映しており、プレイヤーはその背景を知ることで一層の感情移入ができます。
その中でもハルウララは異色の存在です。
彼女の元になった実馬・ハルウララは1998年にデビューし、通算成績は0勝113敗という、極めて珍しい記録を持つ馬です。
勝てないどころか、いつも最下位に近い成績を繰り返していました。しかし、その「絶対にあきらめない姿勢」や、「何度負けても走り続ける」健気な姿が注目され、2000年代前半には日本国内で社会現象的な人気を博しました。
特に、不況の中で「負けても頑張る姿」に励まされたという声が多く寄せられ、彼女は“負け組の星”として愛されたのは先述のとおりです。
英語版『ウマ娘』では、そのバックストーリーも丁寧に翻訳され、海外ユーザーの心にも強く響いています。
「勝てなくても走り続ける」というテーマは、文化や言語を超えて多くの人々の共感を呼び、SNSや動画配信サイトなどでハルウララに関する投稿が急増。
英語圏のユーザーによるファンアートや育成動画、リアルなハルウララの歴史を紹介するコンテンツが次々と生まれ、再評価の機運が高まっているのです。
特に、海外ファンの間では「Underdog Hero(弱者のヒーロー)」としての存在感が強く、ポジティブなメッセージの象徴として受け入れられています。
これは、勝利至上主義ではなく、挑戦し続けること自体に価値を見出すという価値観が浸透しつつある現代の潮流とも合致しており、ハルウララのストーリーが新たな意味を持って受け取られていると言えるでしょう。

海外からの「応援」でサーバーがダウン
ハルウララへの注目が、クラウドギフティングの世界にも波及しました。
特に話題となっているのが、引退馬に生の牧草をプレゼントできる支援サービス「生牧草バンク」です。
このサービスにおいて、ハルウララ宛の支援が急激に集中し、サーバーが一時ダウンするという現象が起こりました。これは、引退馬支援の仕組みにとっても大きなインパクトを与える出来事です。

こうした再ブームの波は、日本国内にも再び影響を及ぼしており、当時のハルウララブームを知る世代が懐かしさとともにその存在を再認識する機会にもなっています。
また、かつての映像や資料が見直され、新たなドキュメンタリーや特集も企画されるなど、2025年のハルウララ人気は一過性にとどまらない広がりを見せています。
このようにして、ゲームを通じて偶然にも再発見されたハルウララは、再び多くの人々に「頑張ることの尊さ」を伝え続けているのです。
現在のハルウララは?
ハルウララは29歳になった現在も、元気に引退後の余生を過ごしています。
場所は千葉県御宿町にある「マーサファーム」。
公式のXやInstagramで近況を観る事が出来ます。
また公式のホームページから申し込めば、牧場見学にも参加できますので、直接会うことができるかもしれません。

まとめ
いまから20年以上前に、日本国内で一大ブームを巻き起こしたハルウララ。
2025年、アプリゲームを通して世界中にその魅力が伝わり、Underdog Hero(弱者のヒーロー)」として第二次ブームが世界規模で起きています。
その経済効果がどれぐらいになるのか、今から楽しみです。